伝えたいメッセージへのつなぎ方

前回は、医師の「So what?」(だからなんだよ?)という認識の壁を破り、「Why so?」(なんで俺にその話をしようと思ったの?)ということを意識したディテーリングの重要性をお伝えしました。

このことを実現するために、もっとも有効なディテーリング手法が「Tバック・ディテーリング」です。

医師に面談する前に、その医師のプロフィールや現状を踏まえ、どのような話題をツカミにすれば、“今日は”話を聞く気になってくれるだろうか?ということを考えてみましょう。

この時に重要なことは、最後にはちゃんと「伝えたいメッセージ」にたどり着くことを意識したうえで、コミュニケーションをスタートすることです。サッカーブラジルワールドカップで惜しくも予選リーグ敗退した日本代表チームのように、「自分たちのサッカーができなかった」から負けたというフレーズは、ビジネス界では言い訳になりません。試しに、あなたの上司に「自分のディテーリングができなかったので処方していただけません」と言い訳してみてください。ものすごく怒られるでしょう(笑)。医師がどんな反応をしても、「伝えたいメッセ―ジ」をあきらめてはいけません。

【図は作成中】

図に挙げたように、他の医師の意見や他のスタッフ、患者さんの声、さらには経営的な内容からスタートすると、ツカミがうまくいくかもしれません。もし、ツカミで失敗したら、なぜ、そのネタがダメだったのか、後で分析してみてください。

ツカミをクリアしただけでは、まだ「So what?」の壁を越えることはできません。次に求められるのが、他施設の成功事例や失敗事例などの興味を持っていただく内容です。一般的なビジネスに置き換えると、“お客様の声”です。テレビショッピングには、必ず商品を紹介した後に、お客様の声が出てきますよね。医療であれば、チーム医療や在宅医療の進出により、患者数がアップしたり、職員のモチベーションが高まった事例などが喜ばれるかもしれません。このような情報は自らが学会や勉強会に参加したり、医師以外のスタッフと仲良くなることにより、独自に入手する必要があります。

勉強会の案内や本社で作成してくれたツール(冊子等)も、いきなり相手に渡すのではなく、Tバック・ディテーリングを用いると有効です。例えば、地域包括ケアシステムについての考えを開業医にうかがいながら、千葉県柏市の行政と医師会の取り組みについて話題提供し、最後に、「そのキーマンが講演する勉強会が来月開催されます」という流れの方が、先生の参加意欲も高まるはずです。

伝えたいメッセージ、勉強会の案内、読んでもらいたい冊子――をどのように紹介すれば、先生が「欲しい」と思うのか?常にこのことを考えた上で情報提供していきましょう。

kawagoe

コンサナリスト
川越満 セジデム・ストラテジックデータ株式会社

米国大学日本校を卒業後、ユート・ブレーンに所属。コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備える「コンサナリスト」(商標登録済)として、講演活動、書籍の出版プロデュースなどで活躍中。とくに、MR向けの研修は受講者から圧倒的な支持を得ており、医薬品業界ではオピニオンリーダー的存在。主な著書に、『MRバブル崩壊時代に勝ち残る“7つの眼”』、『最新<業界の常識>よくわかる医療業界』など。マスコミ掲載では、『毎日就職ナビ2010』、『エコノミスト』、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』などがある。