『地域包括ケアシステム』と『データヘルス』が
ビッグキーワードになる

若いMRは、患者さんを思いながら得意先を良くすることを目指します。それに対し、中堅MRは、地域を思いながら得意先を良くすることを目指してほしいものです。その違いは、地域には“健康(未病)な人”やボランティアも含めた地域にあるリソースすべてのことが含まれています。

厚生労働省が2025年を目途に完成を目指している『地域包括ケアシステム』は、MRにこそ知っておいてほしい内容ですが、残念ながらほとんど研修では触れられていないのではないでしょうか?

地域包括ケアシステムとは、できる限り健康で、住み慣れた地域での生活を継続し、自宅で最期を迎えたいという国民の期待に応えるシステムです。主役は住民、専門職はサポーター、地域は舞台、行政は仕掛け人となり、在宅医療介護連携等の取組を本格化していくものです。すでに、「地域包括ケアシステム構築へ向けた取組事例」が厚生労働省のホームページに公開されていますので、アクセスしてみてください。あなたの得意先や担当エリアが紹介されているかもしれません。

>>>地域包括ケアシステム(厚生労働省)

今後は、この地域包括ケアシステムのベストプラクティスを目指し、医療計画や介護計画を含めた地域間競争が激化することが予想されます。
前回〔地域医療に貢献するのが中堅MRの役割(1)〕も自治体の動きに注目すべきだということを指摘させていただきました。最後の部分では、保険者も全国レベルで疾病管理の対策を2014年度から構築していくと書きました。それは何かというと『データヘルス計画』です。

データヘルス計画とは、保険者が保有するレセプトや特定健診・特定保健指導などの情報を活用し、加入者の健康づくりや疾病予防、重症化予防につなげる計画です。政府が2013年6月14日に閣議決定した「日本再興戦略」では、2014年度中に全ての健康保険組合(約1400)が『データヘルス計画』を策定し、2015年度から実施することを求めています。すでに、モデル的にデータヘルスが実施されている全国健康保険協会(協会けんぽ)広島支部では、糖尿病重症化予防プログラム参加者の検査値に改善傾向が見られ(図表参照)、透析移行の予防効果が期待されています。

私はこのデータヘルス計画をきっかけに、保険者による医療機関の選択が加速すると考えています。例えば、糖尿病の重症化が危惧されるグループをターゲットにした場合、保険者は、糖尿病透析予防指導に熱心で実績のある医療機関への受診を勧めるはずです。その際、糖尿病透析予防指導管理料を算定していない医療機関は、自動的に候補から外れてしまうでしょう。
他の疾患でも同様なことが起こります。MRとしては得意先がチーム医療に取り組み、ちゃんと診療報酬項目を届出・算定しているかを確認しておきたいものです。届出項目の調べ方は、次回に詳しくお伝えしたいと思います。

kawagoe

コンサナリスト
川越満 セジデム・ストラテジックデータ株式会社

米国大学日本校を卒業後、ユート・ブレーンに所属。コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備える「コンサナリスト」(商標登録済)として、講演活動、書籍の出版プロデュースなどで活躍中。とくに、MR向けの研修は受講者から圧倒的な支持を得ており、医薬品業界ではオピニオンリーダー的存在。主な著書に、『MRバブル崩壊時代に勝ち残る“7つの眼”』、『最新<業界の常識>よくわかる医療業界』など。マスコミ掲載では、『毎日就職ナビ2010』、『エコノミスト』、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』などがある。