地域のプライドをかけた対策をサポートする

私は4年サイクルで目標を設定する“オリンピック目標設定法”を提唱しています。MRは3~4年で一人前になると言われていますが、一人前になったことに甘んじてその後の20年間、同じスキルで仕事をすることは、会社にとっても顧客にとっても、そして自分にとっても不幸になるからです。そこで、この連載(全3回)は、“1回目のオリンピック”が終了した5年目以上のMRを対象に、存在意義を示し、その価値を高めるためのヒントをご紹介していきたいと思います。 まずは、下記の文章をお読みください。 「腎症3期以降においては、減塩を中心とした患者支援プログラムを基盤に、リラグルチド等のGLP-1受容体作動薬で腎保護作用のある薬剤を活用する事で、eGFRの低下を阻止し、透析導入を遅延させることが明らかになった」 これは、2013年度から第二次計画がスタートした健康日本21について、生活習慣病の発症予防と重症化予防の効果的な取組事例として紹介されている千葉県立東金病院の報告内容です。「多職種協働で進める糖尿病透析予防指導管理の取り組みと成果」として取り上げられました。「自治体の取組事例集」の中で、唯一、薬剤について言及されています。 健康日本21の第二次計画については、ほとんどのMRが会社から研修などでレクチャーを受けていないと思いますが、ここに大きなチャンスのタネがあります。医療機関や薬局、そして我々、製薬企業が注目すべき「健康日本21(第二次)」のポイントは、健康の増進に関する基本的な方向に「がん、循環器疾患、糖尿病、COPDに対処するため、一次予防・重症化予防に重点を置いた対策を推進」することを盛り込んでいることです。

  目標項目
がん
  1. 75歳未満のがんの年齢調整死亡率の減少(10万人当たり)
  2. がん検診の受診率の向上
循環器疾患
  1. 脳血管疾患・虚血性心疾患の年齢調整死亡率の減少(10万人当たり)
  2. 高血圧の改善(収縮期血圧の平均値の低下)
  3. 脂質異常症の減少
  4. メタボリックシンドロームの該当者及び予備軍の減少
  5. 特定健康診査・特定保健指導の実施率の向上
糖尿病
  1. 合併症(糖尿病腎症による年間新規解析導入患者数)の減少
  2. 治療継続者の割合の増加
  3. 血糖値コントロール指標におけるコントロール不良者の割合の減少(HbA1cがJDS値8.0%、(NGSP値8.4%)以上の者の割合の減少)
  4. 糖尿有病者の増加の抑制
  5. メタボリックシンドロームの当該者及び予備群の減少(再掲)
  6. 特定健康診査・特定保健指導の実施率の向上(再掲)
COPD (慢性閉塞性肺疾患)
  1. COPDの認知度の向上

5月26日には、年間で8%もの患者さんが糖尿病治療を中断していることが各マスコミで報じられました。その対策としてまとめられたのが、『糖尿病受診中断対策マニュアル』と『糖尿病受診中断対策包括ガイド』です。後者のガイドには、かかりつけ医の先生方へのアドバイスとして、「インスリンの自己注射が指示どおり行われず残っている、または、きちんと薬剤が内服されず残薬がある場合には、医療費が経済的に負担である可能性を考慮する」など、受診中断の対策が示されています。 「受診中断患者への対策」と「重症化予防」は、糖尿病を中心とした生活習慣病対策の大きなキーワードになります。今後は健康日本21(第二次)などにより、地域、そして各医療機関(連携ネットワーク)のプライドをかけた取り組みが進んでいくことになるでしょう。ここに、製薬企業がサポートする機会が存在しています。主役となるのは、中堅MRであるあなたでしょう。 このような疾病管理の対策には、2014年度から保険者も全国レベルで動き始めました。そのことについては、次回お伝えします。 参考URL「糖尿病受診中断対策包括ガイド」 http://ncgm-dm.jp/renkeibu/dm_jushinchudan_manual.pdf

kawagoe

コンサナリスト 川越満 セジデム・ストラテジックデータ株式会社

米国大学日本校を卒業後、ユート・ブレーンに所属。コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備える「コンサナリスト」(商標登録済)として、講演活動、書籍の出版プロデュースなどで活躍中。とくに、MR向けの研修は受講者から圧倒的な支持を得ており、医薬品業界ではオピニオンリーダー的存在。主な著書に、『MRバブル崩壊時代に勝ち残る“7つの眼”』、『最新<業界の常識>よくわかる医療業界』など。マスコミ掲載では、『毎日就職ナビ2010』、『エコノミスト』、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』などがある。